【2024年大統領選】トランプ vs. ハリスの討論会で使われた英語を徹底解説 英語ガチ勢以外も大丈夫!

2024年9月10日に行われたハリス副大統領とトランプ前大統領のテレビ討論会、見ましたか?

私はライブで見たのですが、思わず笑ってしまった発言がいくつもあり、2時間があっという間でした。X(旧Twitter)でも同じような反応を投稿している人がたくさんいたので、私だけではないと思います。

こういうのは、ビールでも飲みながらバーでわいわいいいながら見るのが一番しっくりくるのかも。実際そうしていた人はたくさんいたようですよ。

今回のブログでは、討論会で使用された英語の難易度を、以下の4つに分けて、「読みやすさ(聞きやすさ)」と「語彙」それぞれの難易度を検証していきます。

  • 討論会全体
  • トランプ前大統領の発言
  • ハリス副大統領の発言
  • ABCニュースのモデレーターの発言

「討論会の英語なんて、難しすぎるんじゃない?」と思いませんか?実は、英検3級を余裕で合格するレベルの英語力があれば、かなり理解できるんです!

時事英語の学習に役立つ知識や、スピーチですぐに使えるテクニックなど盛りだくさんの内容なので、ぜひ最後までお読みくださいね。

目次

検証に使ったもの

今回は、討論会を主催したABCニュースの動画と、全発言を書き起こした原稿を使用します。

【英語のみ】討論会映像

アメリカ独特の選挙戦の雰囲気を感じられるので、興味のある方はぜひ見てみてください。英語のみなので内容がわかりづらいかもしれませんが、非言語要素(声のトーンやボディランゲージなど)は感じられると思います。

【英語のみ】討論会全発言

こちらも英語のみですが、ほぼ全ての発言が掲載されています。

【参考】日本語概要

今回の検証では使いませんが、動画や書き起こし原稿を見る前に、NHKによる討論会の詳細を読むと理解が深まると思います。

難易度検証ツール

検証結果の解説に進む前に、「読みやすさ」と「語彙」の難易度を検証するツールについてご紹介します。

リーダビリティ・テスト: 読みやすさの難易度検証ツール

読みやすさの難易度は、「リーダビリティ・テスト(Readability Test)」の英語版で検証します。リーダビリティ・テストの詳細は、以下の記事でご紹介しています。クリックすると該当箇所に飛びます。

Vocab Kitchen: 語彙の難易度検証ツール

語彙の難易度は、「ボキャブ・キッチン(Vocab Kitchen)」で検証します。このツールの詳細は、以下の記事でご紹介しています。クリックすると該当箇所に飛びます。

討論会全体の難易度検証

それでは、さっそく英語の難易度を見ていきましょう。まず最初に、討論会全体の「読みやすさ」と「語彙」の難易度を検証していきます。

読みやすさの検証結果

リーダビリティ・テストの結果は、「アメリカの12~13歳が理解できるレベル」難しい単語やフレーズは、スピーチ全体の10.64%でした。

この結果をみても、日本人にとってどの程度のレベルなのかピンこないと思うので、語彙の難易度も見てましょう。

語彙の難易度の検証結果

上の画像は、検証結果のスクショです。小さすぎて見えづらいと思うので、以下に結果をご紹介します。(英検レベルはおおよその目安です。)

A1レベル(英検3級):68%

A2レベル(準2級):9%

B1レベル(2級):7%

B2レベル(準1級):4%

C1レベル(1級):1%

C2レベル(1級より高度):1%

この結果を見ると、英検3級を余裕で合格する英語力があれば、討論会の発言の7割を読んで理解できると言えます。

どうですか?意外に難易度が低かったのではないでしょうか?

ここで1点注意。読む難易度と聞く難易度は違うので、7割読めるからと言って7割聞いてわかる、ということではありません。

トランプ前大統領の発言の難易度

それでは、トランプ前大統領の発言の難易度を検証していきます。

読みやすさの検証結果

リーダビリティ・テストの結果は、「アメリカの10~11歳が理解できるレベル」で、難しい単語やフレーズは、スピーチ全体の7.52%でした。

徹底的に「わかりやすさ」に焦点を置いた発言だと言えます。

語彙の難易度の検証結果

上の画像は、検証結果のスクショです。以下に結果をご紹介します。(英検レベルはおおよその目安です。)

A1レベル(英検3級):75%

A2レベル(準2級):10%

B1レベル(2級):5%

B2レベル(準1級):3%

C1レベル(1級):1%

C2レベル(1級より高度):0%

この結果からは、英検3級を余裕で合格する英語力があれば、討論会の発言の約8割を読んで理解できると言えます。

C1レベルの英単語も1%使われています。やはりこのような討論会では、いかにわかりやすさにフォーカスすると言っても、多少は難易度の高い単語を使う必要があるということですね。

なぜトランプ氏の英語は聞きやすいのか

トランプ氏の発言は難易度の低い語彙を使うだけではなく、話し方も比較的ゆっくりなので、わかりやすさが倍増されています。

また、かなり多くの発言がとてもシンプルで短いということも、聞きやすい理由です。

ハリス副大統領の発言の難易度

それでは、ハリス副大統領の発言の難易度を検証していきます。

読みやすさの検証結果

リーダビリティ・テストの結果は、「アメリカの14~15歳が理解できるレベル」で、難しい単語やフレーズは、スピーチ全体の12.55%でした。

トランプ前大統領よりも、難易度が少し高いですね。

語彙の難易度の検証結果

上の画像は、検証結果のスクショです。結果は次の通り。(英検レベルはおおよその目安です。)

A1レベル(英検3級):68%

A2レベル(準2級):9%

B1レベル(2級):8%

B2レベル(準1級):5%

C1レベル(1級):1%

C2レベル(1級より高度):1%

この結果からは、英検3級を余裕で合格する英語力があれば、討論会の発言の約7割を読んで理解できると言えます。

ハリス氏の発言には、「aspirations(強い願望や憧れ、大志)」や「integrity(誠実、品位)」など難しい語彙がたくさん含まれているので、その分難易度が高くなっているんですね。

難易度が高いにも関わらず難しく聞こえない理由

少し難易度の高い英語であるにも関わらず、聞いているとそんな風に感じないのは、話し方に理由があります。

  • イントネーション、声のトーン、間の取り方、ボディランゲージ、アイコンタクトと、スピーチに必要な要素全てを巧みに操っている。

こうしたテクニックは、メッセージをわかりやすく、効果的に伝えるだけではなく、ハリス氏がまるで直接語り掛けてくれているような、パーソナルな感覚を与えるのに効果的です。

また、同じフレーズを3回くらい繰り返す手法を好んで使っていますが、これは伝えたいメッセージのインパクトを強くし、相手を鼓舞するするテクニックの1つです。「I have a dream!」というフレーズで有名な、マーティン・ルーサー・キングのスピーチでも使われています。

オバマ大統領のスピーチも英語教材としてとても人気がありますが、ハリス副大統領のスピーチも負けず劣らず、たくさん役に立つ情報が満載です。ぜひ動画を見てみてください。

ABCニュースモデレーター発言の難易度

最後に、ABCニュースモデレータ発言の難易度を検証してみます。

読みやすさの検証結果

リーダビリティ・テストの結果は、「アメリカの12~13歳が理解できるレベル」難しい単語やフレーズは、スピーチ全体の12.39%でした。

ハリス氏の発言よりは、読んでわかりやすいという評価ですが、難しい語彙がたくさん使われているので、英検3級レベルでは、ところどころスラスラ読めないところがありそうです。

語彙の難易度の検証結果

検証結果の結果は次の通り。(英検レベルはおおよその目安です。)

A1レベル(英検3級):65%

A2レベル(準2級):9%

B1レベル(2級):8%

B2レベル(準1級):4%

C1レベル(1級):2%

C2レベル(1級より高度):2%

「読みやすさ」の難易度はある程度高かったのですが、この検証結果を見ると、英検3級を余裕で合格する英語力があれば、討論会の発言の約7割を読んで理解できると言えます。

しかし、ここで注目してもらいたいのは、C1とC2レベルの語彙がそれぞれ2%あるということです。

さすがABCニュースの看板キャスターたち。全体的な難易度は易しくしつつ、ABCニュースのブランドと大統領選討論会の格式を保つために、難易度の高い単語をサラリと混ぜる。このテクニックはさすがとしか言いようがありません。

なぜモデレーターの英語は難しく聞こえてしまうのか

読みやすさ検証ではハリス副大統領よりも難易度が低いという結果だったにも関わらず、動画を見ると彼らの英語はやはり難しく感じる人が多いと思います。

その理由は、ニュース英語独特の話し方とスピードにあります。

モデレーターはABCニュースの看板キャスターたちなので、当たり前ですが話し方は「ザ・ニュース」です。つまり、スピードが速く、スピーチと比べるとイントネーションがかなり抑えめです。

話すスピードが速いということは、単語と単語がつながって発音されるということです。彼らが話す単語1つ1つの意味が瞬時にわかるくらいの英語力がないと、すべてを聞いて理解するのは難しいと言えます。

イントネーションが抑えめと言っても、全くないわけではありません。人を鼓舞したり特定の行動を促したりなど、聞いている人の感情に訴える意図を持ったスピーチとは違い、ニュースは「中立な事実」を正しく伝える目的があります。そのため、スピーチと比べると少し冷淡な印象があります。

人間は感情が動かされるほど聞いている内容に集中できます。ニュースではそのようなエンゲージメントが少ないので、どうしても聞きづらい印象になってしまうんですね。

ニュース英語でリスニング練習をするときは、最初から無理してナチュラルスピードで聞くのではなく、難しかったら0.75倍速にするなど、スピードを落として聞く方が効果があります。最初にしっかり発音されている単語を耳で理解することで、ナチュラルスピードで聞いたときに聞き取れる頻度が上がりますよ。

討論会の難易度のまとめ

2024年アメリカ大統領選討論会で使われている英語の難易度を、テーブルでまとめてみました。

読みやすさの難易度語彙の難易度英検1級以上の単語
討論会全体アメリカの12~13歳英検3級単語が約7割全体の1割
トランプアメリカの10~11歳英検3級単語が約8割なし
ハリスアメリカの14~15歳英検3級単語が約7割全体の1割
モデレーターアメリカの12~13歳英検3級単語が約7割全体の2割

今回の内容が、あなたの英語学習の参考になれば嬉しいです💖

Kyanbridge Englishでは、今回のように旬の時事英語教材を使って、あなたのレベルに合わせた完全オリジナルのマンツーマンレッスンを行っています。

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この記事を書いた人

米国アイオワ大学で学士号と修士号を取得後、国連専門機関、大学、NPO、外資系企業など、英語が公用語の職場で20年以上の勤務経験あり。
英語コミュニケーションの楽しさを伝えたくて、イギリスのケンブリッジ大学英語検定機構認定のCELTA(英語教授法資格)を取得し、Kyanbridge Englishを設立。

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