【英語講師が検証】ChatGPTの翻訳はどこまで正確?プロンプトのコツと精度アップの秘訣を徹底解説!

皆さん、英語の翻訳ってどうしていますか?

私は基本的に自分で翻訳しますが、時間がない時は、ChatGPTを利用するときもあります。

ChatGPTに限らず、AI翻訳機能は精度が上がってきているとは言え、「本当に正しい翻訳ができるの?」と疑問に思いませんか?

特に、ビジネス文書やホームページなど、情報の正確さが命の翻訳は、誤訳は大問題に発展しかねません。

この記事では、ChatGPTで翻訳したい人向けに、以下の内容をお伝えしていきます。

  • ChatGPT(無料版・有料版)の翻訳精度
  • 無料と有料の使い分け方法
  • ChatGPTを翻訳アプリとして使いこなすヒントやプロンプト
目次

ChatGPTの翻訳精度ってどのくらい?

Chat GPTの翻訳が正しいか正しくないかを一言で答えるのは、正直難しいところがあります。

なぜかと言うと、使っているGPTの種類(無料版なのか有料版なのか)や、翻訳が必要な原文の文章構造、翻訳指示の仕方(プロンプト)によって、翻訳精度は大きく変わるからです。

とは言っても、Chat GPTは日々進化しているので、、コツさえつかめば無料版でかなり精度の高い翻訳ができますよ。

短くシンプルな文章の場合

まずは、短く簡単な構造の文章の翻訳で見てみましょう。

『私は猫が好きです。』

I like cats.
I like cats.

これくらいシンプルで短い文なら、無料版でも問題ないレベルです。

複雑な文章の場合

では、少し複雑な文章の翻訳を見てみましょう。

『昨日は、御社主催の意見交換会にお誘い頂き、誠にありがとうございました。大変有意義な時間を過ごすことができました。』

Thank you very much for inviting me to the discussion meeting hosted by your company yesterday. I had a very productive and meaningful time.
Thank you very much for inviting me to your company's panel discussion yesterday. I had a very meaningful time.

赤字部分は誤訳です。「panel discussion」は日本語の「パネルディスカッション」のことで、「意見交換会」とは目的や形式が違います。しかし、全体の意味がまったく違ってしまうほどひどい誤訳ではありません。

無料版の青字部分は間違いではありませんが、有料版と比較するために色をつけました。有料版の翻訳は「productive and meaningful」と訳されていて、より自然な表現になっています。

複雑な文章の翻訳対決では、有料版の方に軍配があがりましたが、無料版の翻訳が全く使えないレベルというわけではありません。誤訳は許容範囲ですし(文脈によっては誤訳にならないかも)、「お礼を伝えたい」というメッセージは十分伝わります。

無料版と有料版の使い分け方法は?

ChatGPTの無料版と有料版、違いはざっくりこんな感じです。

  • 速度:有料版は混んでてもサクサク動きます。
  • 利用制限:無料版は1日の回数制限があることも。有料版は余裕あり。(極端に多い回数や長い文章には制限がかかることも。頻繁に使うけど、ほどほどなら安心して利用できる範囲)
  • 料金:無料版は0円、有料版は月20ドル。

翻訳に関して言えば、短く簡単な構造の文章を翻訳する場合や、 翻訳の品質よりもコストを重視する場合には、無料版でもいいと言えます。

しかし、次のように高精度な翻訳が求められる場合は、有料版を使用した方が良いです。

【有料版を利用したほうが良いケース】

  • 公式な文書やビジネス文書の翻訳
  • 複雑な文脈を持つ文章や専門的な内容の翻訳
  • 長文翻訳
  • 前後の文脈を考慮して自然な表現を求める場合
  • 文学作品や創作物の翻訳
  • マーケティング資料や広告文の翻訳

ビジネス文書にも使えるの?

ChatGPTはビジネス英語の翻訳でも使えますが、少し注意が必要です。

なぜかと言うと、ビジネスシーンでは正確さはもちろん、専門用語やフォーマルな文体などにも気をつけなければいけないからです。例文で見てみましょう。

『業務の効率化とコスト削減のために、プロジェクト全体の流れを見直す必要があります。』

To improve efficiency and reduce costs, it's necessary to review the entire workflow of the project.
To improve efficiency and reduce costs, we need to review the entire project workflow.

無料版は客観的に状況を説明するフォーマルな表現を使ったのに対し、有料版は主体的で親しみやすい表現を使いました。「we need」とすることで、相手に対して直接的な行動を促すニュアンスが強くなります。

有料版は無料版と比べて、文脈の理解と語彙を選ぶ能力が格段に優れているので、原文の文脈を読み取って、より自然で人間的な表現を選んだのではないかな、というのが私の見解です。

でも、フォーマルな表現を望んでいるのに、親しみのある表現で翻訳されても困りますよね?そんな時は翻訳指示を出すときに、「フォーマルな表現にしてください。」など追加指示を出せばOK。

専門用語については、一般的に広く使われている専門用語であれば、無料版も有料版もかなり正確に訳せます。

一般的ではない業界特有用語は誤訳されることがあるので、プロンプトを入力する時に「Liquidity Trapは流動性のワナと訳してください。」などと具体的に指示を含めることで、より正確に翻訳されます。

プロンプトとは?

プロンプトとは、ユーザーがChatGPTに対して与える指示や質問のことです。生成AIに関する情報には必ずと言っていいほど出てくる用語なので、これを機に覚えておくとGood!

ChatGPTの翻訳指示のコツ

Chat GPTに精度の高い翻訳をしてもらうには、原文の書き方やプロンプト(ユーザーがChatGPTに対して与える指示や質問のこと)にちょっとしたコツがあります。詳しく説明していきますね。

1. 文脈や背景説明など必要な情報を全て書く

翻訳を指示する時は、翻訳が必要な文だけでなく、その前後の文脈や背景を伝えることがとても重要です。

映画の台本をイメージしてもらえばわかりやすいかもしれません。台本には、シーンの細かい場面説明や、登場人物の心理描写など、役者さんがイメージしやすい情報がいっぱい書かれています。

ChatGPTに指示するときは、翻訳する前後の文脈や背景を台本のようにできるだけ詳細に書きましょう。

面倒に感じるかもしれませんが、そうすることで、ChatGPTは細かいニュアンスを読み取って、より正確で自然な翻訳ができるようになるんです。

例えば、以下のようなプロンプトは、具体的な情報に欠けているので、正確に翻訳されない可能性があります。

次の原文を英語に翻訳してください。【原文】会議に参加できるかご返信ください。

2. 原文は、主語を入れて簡潔でわかりやすくすること

翻訳したい文章をできるだけシンプルな文にすると、正確に翻訳されやすくなります。

「ので」「ですが」などの接続詞を使って長い文章にすると、思っているような翻訳にならないときがあります。

そして、特に英作文問題の翻訳をする時に大切なのが、主語を必ず入れること

日本語は主語抜きで話すことが多いので、主語を入れ忘れてしまうことがあります。主語を入れ忘れると誤訳の可能性も非常に高くなるので、注意が必要です。

「次の原文を英語に翻訳してください: 明日、東京に行きます。」

「次の原文を英語に翻訳してください: 私は明日、東京に行きます。」

完コピして使えるプロンプト集

ここからは、完コピして使えるプロンプト集をご紹介します。

翻訳だけではなく、翻訳が正しいかをチェックするプロンプトもご紹介していますので、お役に立てばうれしいです。

正確な翻訳をするためのプロンプト(日→英)

それでは、ChatGPTに正確な英訳をしてもらうためのプロンプトをご紹介します。

あなたはプロの翻訳家です。次の##原文を英語に翻訳してください。翻訳するときは、以下の##条件を満たしてください。

##条件

  1. 翻訳の理由(例:プロジェクト進捗会議のスケジュール調整をするため。)
  2. 翻訳を読む人(例:プロジェクトスタッフと役員)
  3. 翻訳のトーン(例:フォーマル)
  4. 翻訳のスタイル(ビジネスメール)

##原文

"""(ここに翻訳したい文を記入)"""

「翻訳のトーン」とは、フォーマルやカジュアルなど、文章が伝える雰囲気や感情のことです。同じ内容でも、トーン次第で翻訳を読む人の受け取り方が変わってくるので、ChatGPTに適切に指示する必要があります。

「翻訳のスタイル」とは、ニュース記事やビジネス文書、小説などの文章で使われる書き方や表現方法のことです。文章の種類によって適した書き方があるので、それをChagtGPTに指示する必要があります。

正確な翻訳をするためのプロンプト(英→日)

次に、ChatGPTに正確な日本語訳をしてもらうためのプロンプトをご紹介します。

あなたはプロの翻訳家です。次の##原文を日本語に翻訳してください。翻訳するときは、以下の##条件を満たしてください。

##条件

  1. 翻訳の理由(例:最新の研究に関する記事を、プロジェクトチームで共有するため。
  2. 翻訳を読む人(例:プロジェクトスタッフと役員)
  3. 翻訳のトーン(例:フォーマル)
  4. 翻訳のスタイル(HPの記事)

##原文

"""(ここに翻訳したい文を記入)"""

「条件」に記載する内容は、可能な限り詳細に書くこと。

翻訳の理由:社内ミーティング

翻訳の理由:役員も参加してプロジェクトの進捗確認をする重要なミーティング

指定した用語を使って翻訳する場合

専門用語や、社内で規定されている用語を使用して翻訳をしたい場合は、プロンプトに用語集を追加しましょう。

あなたはプロの翻訳家です。次の##原文を日本語に翻訳してください。翻訳するときは、以下の##条件を満たし、##用語集の対訳を正しく使ってください。

##条件

  1. 翻訳の理由(例:ChatGPTのアップデートに関する記事をプロジェクトチームで共有するため。)
  2. 翻訳を読む人(例:プロジェクトスタッフと役員)
  3. 翻訳のトーン(例:フォーマル)
  4. 翻訳のスタイル(HPの記事)

##用語集
(ここに対訳を入れる。例:Algorithm =アルゴリズム )

##原文

"""(ここに翻訳したい文を記入)"""

誤訳にどう対処する?

最新の注意を払ってプロンプト入力しても、Chat GPTが誤訳をする可能性あります。次の例文は、私が実際にChatGPTを使って翻訳してみたものです。

原文『We need to delay the project.』

【誤訳】私たちはプロジェクトを中止する必要があります。

【正しい訳】私たちはプロジェクトを延期する必要があります。

誤訳例では、"delay"が「中止する」と誤訳されてしまいました。ビジネスの場面では、このような誤訳が致命的なリスクになりかねませんので、特に注意が必要です。

翻訳が正確かどうかを確認するためには、どうしたらいいのでしょうか?

誤訳対策:必ず翻訳の確認を行うこと。

これにつきます。翻訳したものをそのままメールの返信にコピペして相手に送る、というのは、少々危険です。

有料版のChatGPTで翻訳した後でも、プロの校閲を受けるのが、翻訳の正しさを確認する一番確実な方法です。

「どうせプロの校閲を受けるなら、わざわざ有料版を使う必要はないのでは?」と思うかもしれませんね。

しかし、有料版を使うと、原文の日本語のニュアンスを汲み取った翻訳ができるので、校閲者との誤解が少なくなり、やり取りの時間や修正箇所も減ります。結果として、時間とコストの削減につながるのではないかと思います。

プロの校閲を受けるのが難しい場合は、次の方法を試してみてください。

1. ChatGPTで翻訳をチェックするためのプロンプト

翻訳された文章が正しいかどうか、自分で確認したい場合は、次のプロンプトを使ってみてください。

あなたはプロの翻訳チェッカーです。以下の##原文と##訳文を比較し、##確認するエラーリストに指定されたエラーがないか確認してください。エラーを指摘し、それぞれの問題点を説明した上で、すべてのエラーを訂正した訳文を提示してください。

##翻訳の目的

(ここに翻訳の目的を記入)

##確認するエラーリスト

  • 正確性エラー:原文の意味が正しく伝わっていない箇所
  • 流暢さエラー:文法的に正しくても、自然な表現になっていない箇所
  • 文体エラー:原文に適した文体が使用されていない箇所
  • フォーマリティエラー:フォーマル/インフォーマルなトーンが翻訳の目的に合っていない箇所
  • 用語のエラー:専門用語の使用や一貫性に問題がある箇所
  • 一致性エラー:訳文全体でトーンやスタイルの一貫性が保たれていない箇所
  • 冗長性エラー:原文に比べて訳文が不必要に冗長な箇所
  • 省略エラー:原文の重要な情報が訳文で省略されている箇所
  • 語順エラー:日本語と英語の語順の違いによって、訳文で語順が不自然になっている箇所
  • 翻訳スタイルのエラー:翻訳の目的に沿ったスタイルが使用されていない箇所
  • 失礼な表現がないか:フォーマルな言い回しであっても、命令形や強い表現が相手に不快感や失礼な印象を与える可能性がないかを確認

##原文

"""(ここに原文を記入)"""

##訳文

"""(ここに訳文を記入)"""

2. 英語ができる人に確認してもらう

できるだけ自社内で翻訳精度を確認したい場合、英語ができる人に翻訳を確認してもらうのも手です。

ネイティブスピーカーがいれば理想的ですが、バイリンガルの友人や同僚にお願いするのも良いでしょう。

文脈に合った表現かどうか、ニュアンスが正しく伝わっているかをチェックしてもらうことで、誤訳のリスクを減らすことができます。

最後に

ChatGPTは翻訳機能としても使えます。精度の高い翻訳をしてもらうにはコツがいりますが、以下のポイントを押さえることで、誤訳のリスクを減らすことができます。

  • 原文をシンプルで明確な文にすること
  • 文脈を可能な限り詳細に伝えること
  • 適切なプロンプトを入力すること

ChatGPTで下訳をしたあとに、翻訳のプロやネイティブの校閲を受けることをおすすめします。

Kyanbridge Englishのレッスンでは、ChatGPTなどの生成AIを使って、ライティング力やスピーキング力を高めるレッスンも行っています。興味のある方は、ぜひ体験レッスン・無料相談にご参加くださいね!お待ちしいます!

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この記事を書いた人

米国アイオワ大学で学士号と修士号を取得後、国連専門機関、大学、NPO、外資系企業など、英語が公用語の職場で20年以上の勤務経験あり。
英語コミュニケーションの楽しさを伝えたくて、イギリスのケンブリッジ大学英語検定機構認定のCELTA(英語教授法資格)を取得し、Kyanbridge Englishを設立。

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