【留学中の辛い体験】勉強のしすぎで市販薬をODし救急搬送された話

毎年8月31日は、国際過剰摂取啓発デー(International Overdose Awareness Day)です。

薬の過剰摂取で亡くなった方々を偲び、命を守るために何ができるかを皆で考え、過剰摂取の危険性やその防止について考えるキャンペーンが世界中で行われます。

今回は国際過剰摂取啓発デーにちなんで、私がアメリカ留学中にオーバードーズ(過剰摂取)で救急搬送された経験をシェアしたいと思います。

海外の大学や大学院留学に興味がある方、実際に留学を検討している方には参考になると思うので、ぜひ最後まで読んでもらえたら嬉しいです。

目次

【時系列順】何があったのか

To make the long story short(簡潔に言うと)、ドラッグストアで購入した眠気覚ましの市販薬を、コーヒーと一緒に摂取するという生活を数日間続けた結果、カフェイン過剰摂取で倒れてしまい、大学病院に救急車で搬送されたという話です。

夏休みという貴重な時間を有効活用しようとした結果、自分自身を追いこみ、健康を害してしまいました。

私は運よく軽症で済みましたが、市販薬を誤った方法で大量に摂取することは、長期にわたり健康被害に苦しむ可能性があるので、決して甘く見てはいけません。

農林水産省 カフェインの過剰摂取について

https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html

ではここからは、事の顛末を具体的にお話していきます。

夏休みに短期集中講座を履修することにした。

春学期も後半に差しかかった、とある日の午後。ダウンタウンにあるJava Houseというカフェのテラス席で、私は親友のキムとスニェジと一緒に、アイスコーヒーを飲んでいました。

ここからは、当時の様子を再現した会話でご説明します。

スニィエジ
Girls, what’s your plan for the summer break?

(ねぇ、夏休み何するの?)

Me? I’ve just registered for classes.

(私?授業に登録した。)

キム
You, what??

(は?)

I need to earn credits.

(単位必要なんだもの。)

キム
Now, THAT is crazy! You are in the States. You got to do something fun to experience this country.

(何それ!アメリカにいるんだから、この国を楽しむことをしないと!)

Like what?

(例えば何?)

キム
Like going on a road trip!

(例えば、ロードトリップに行くとか!)

スニィエジ
A road trip? To where?

(ロードトリップ?どこに?)

 

キム
I’ve got a brilliant idea. How about a road trip to Los Angeles? A girls’ trip! We take Route 66! We can stop by the Grand Canyon on our way. What do you think?

(めっちゃいいアイデアなんだけど、ドライブしてロサンゼルスに行くってのはどう?女子旅よ!ルート66をを走って、途中でグランドキャニオンにも寄れるよ。どう?)

スニィエジ
I’m in!

(賛成!)

That sounds like a very good plan, but I really need to take classes. I’ll skip this time.

(すごい楽しそうだけど、本当に授業をとらないといけないから、今回はパス。)

スニィエジ
Seriously? Oh, come on. Come with us!

(本気?ねぇ、一緒に行こうよ!)

Nah, sorry. You tell me all about it when you get back.

(いや、ごめん。戻ってきたら全部聞かせてね。)

キム
You are going to regret this for sure.

(絶対後悔するよ。)

はい、めちゃくちゃ後悔してます!心の底から。

一生に一度の大きなチャンスだったのに、本当にもったいない。

授業が想像以上に大変だった。

夏休み中に開講される短期集中講座って、フツーの授業を履修するよりはるかにしんどいんですよ。

通常1学期間に行う授業を数週間で行うんだから、そりゃあ大変に決まってます。

私は無謀にも3つの授業を掛け持ち履修して、3日後に2つの授業の履修を取り下げました。

最終的に履修したのは、毎回離脱者続出という魔の授業Rethoric(レトリック)。

「レトリック」とは、人にうまく伝えたり、説得したりする技術のこと。古代ギリシャやローマ時代から発展してきたもので、演説や文章を書く際に、聴衆や読者に対して効果的にメッセージを伝える方法を学ぶ学問です。

Rethoric(レトリック)の本場ギリシャ出身の教授は、授業初日に開口一番にこう言い放ちました。

「私のクラスでは、今までA(優)を取った人はいない。なぜか?それはレトリックは簡単じゃないからです。B(良)が取れたら喜ぶべきです。」

今ならアカデミック・ハラスメントにでも抵触しそうな発言ですが、当時はこんなもんでした。

教授が言った通り、授業は難しいし課題の量はハンパない。そのため授業の後は、大学から少し離れた郊外にある24時間オープンのファミレスまでバスで行って、夜通しで勉強しました。

毎日教科書を数十ページ読みこみ、レポートを仕上げ、次の日のディスカッションの準備をするのですが、時間が飛ぶように過ぎて行って、1日24時間ではとても足りません。

家に帰るのは、シャワーを浴びて着替えるためだけ。

そんな生活を1週間続けた結果:

目の下は真っ黒。

肌はパッサパサ。

顔は土気色。

まるで生きるゾンビ。

眠気と戦わずに勉強時間を増やす方法を考えていた。

このままの調子では、B(良)どころか、F(落第)をもらう可能性もある。

それに、見た目も廃人みたいになってる・・・

眠気で頭がぼーっとしすぎてて、どうしたら睡眠時間を削っても眠くならずにすむのかということしか考えられない日々が続きました。

そんなの、普通に考えてあるわけないですよね。無駄な質問だとわかっていても、藁をもすがる気持ちだったんです。

そんなある日、クラスメートの一人が教えてくれました。

「私はここぞって時に、眠気が吹っ飛ぶカフェイン剤を飲んでるよ。」(乱用してほしくないので、あえて商品名は書きません。)

何ですと!?

聞くとこのカフェイン剤には、コーヒーなどのカフェイン飲料とは比べ物にならないくらい大量のカフェインが入っているとのこと。

まじか。

眠気が吹っ飛ぶ市販のカフェイン剤をゲットした。

その話を聞いた直後、私は近くのドラッグストアに走りました。

サプリコーナーに行くと、お目当てのブツは高い棚にズラ~っと並んでいました。もう棚ごと買い占めたい。

ボトル、でかっ!

しかも、安っ!!!

私は喜びいさんで、2つゲットしました.

これで私は眠気と戦うこともなく勉強できる。絶対A取って教授をギャフンと言わせてやるもんね。(ギャフンって、死語?)

先生の悔しがる顔(の幻影)がすでに見えていた私は、怖いものなしでした。

世の中が眠ってる間、私は勉強するんだもの。クオリティの高いレポートが書けるに決まってる。

カフェイン剤を飲んで死ぬほど勉強した。

カフェインサプリのボトルをにぎりしめ、私はいつもの24時間ファミレスに直行しました。

なんか、もう世界中に「私は無敵だ~!」って叫びだしたい気分でした。

とりあえず席につき、お代わり無料の麦茶かと思うくらいうっすいコーヒーと、安いパンケーキを注文。パンケーキにはバターとシロップをたっぷりかけて糖分を補給しつつ、数時間おきに規定量の3倍くらいの量のカフェインサプリをコーヒーで流しこみました。

すると、効果はすぐにあらわれました。

ナニコレ。

目がシャキーーーンってするんですけど!?

おまけにたくさん寝たあとのように頭がさえて、「こんなキレッキレなレポートを書けるなんて、私天才かも。英語力も突然開花した気がする~~~!」と大興奮。(←やばい)

この時点で、そのサプリについて教えてくれたクラスメートは、「こいつ、何かまずいかも・・・」と思ったらしい。(だったら、止めてよ!)

いつもなら、着替えをしに家に帰ったら気を失ったようにベッドに倒れこんでいたのに、その日はまったく眠くない。

ちゃっちゃと着替えて、意気揚々と授業に向かいました。授業の前に睡魔が襲ってきたので、サプリをコーヒーで流しこみました。

どのくらいの頻度でサプリを摂取していたかと言うと、

授業サプリ勉強サプリ着替えサプリ勉強サプリ授業

こうした生活が数日続いたある日、事件は起きました。

トイレで倒れて救急搬送された。

私、見たんです。NAOKOが授業前にサプリを飲んでるの。授業が始まってちょっとしたら、彼女トイレに行ったんです。でも、全然帰ってこなかった。20分くらい過ぎてから先生が、「誰か、トイレに見に行ってくれないか。」と言ったので、私が見に行きました。そしたら・・・NAOKOが手洗いのシンクの前で倒れていたんです。(クラスメートA)

私はトイレに行ったのは覚えているのですが、次に気がついた時にはトイレの床に横たわっていました。強烈なアンモニアの臭いで目を覚ますと、頑強な救急隊員数名が私を覗き込んでいました。

彼らは何か言っていましたが、私は意識がもうろうとしていて、また気を失いました。

次に気がついた時、私は病院のベッドに寝かされていました。

若くて優しそうな医師がいろいろと質問をしてきましたが、どんなやり取りだったのかは覚えていません。

たぶん、この数日どんな生活をしていたのかとか、どんなものを食べたのかとか、あとサプリのことも聞かれた気がします。

一つだけはっきり覚えているのは、その医師が、”Your professor told me that you have been working very hard.”(あなたはものすごく勉強していたと教授が言っていましたよ。)と言ったこと。

それを聞いて、私は号泣してしまいました。

自分が考えていた以上に、私は自分にプレッシャーをかけてしまっていたんですね。

数時間ベッドで休んで、迎えに来てくれたクラスメート(←カフェイン剤を教えてくれたヤツ)と一緒に帰りました。

帰る前に、支払いをしました。

請求書の額を見て、また倒れそうになりました。

 500ドル。

500ドルで済んだ、とも考えられるけど・・・私が毎日必死こいて節約してた分、一瞬でふきとんだわ。

あ、もう少しで言い忘れそうになりましたが、成績はB(良)でした。

最後に

語学のハンデがある留学生にとって、勉強時間の確保は重大な問題。膨大な予習量と課題をこなすため、多くの留学生は睡眠時間か食事時間、またはその両方の時間を削ります。

私もそんな留学生の一人でした。

勉強しながらでもある程度食事はできますが、どんなことをしても眠気には勝てません。

「寝ないで勉強する方法」で、まともなものがあるわけがないのは、ちょっと考えればわかることなんだけど、その時の私はまともな精神状態ではなかったんでしょうね。

私もそうでしたが、経済的な理由で早く卒業したい人もたくさんいると思います。それは重要なことなんだけど、そのために体を壊したりメンタルがやられたりしたら、元も子もない。

口を酸っぱくして言いますが、市販薬のODは百害あって一利なしです。

私も周りもそんなことは知らず、軽い気持ちで使っていましたが、市販薬のODは死に至る可能性のある、大変怖いものです。

決して、簡単に考えないでください。

健康な体があってこそ、留学を楽しむことができるのです。

留学メンタリングサービスを活用しよう。

留学中に切羽詰まった状況になると、私のように間違った方法で対応しがちになるから、絶対に一人では悩まないことが大切です。

頑張り屋さんや責任感の強い人ほど、「そんなことで相談するなんて・・・だってみんなできてるし。」と思いがち。

でも、本当にそうでしょうか?

あなたの周りの「できている人」は、何の苦も悩みもなく、簡単にできているのでしょうか?

それは違います。みんな必死でそう見せているだけです。

だから、「そんなことで・・・」と思うときこそ、信頼できる友人や家族、スクールカウンセラーなどに相談しましょう。

そうは言っても、「みんなに心配かけてしまうかもしれないから、身近な人には相談できない」「弱くてみっともない人と思われそう」などと、相談するのを躊躇してしまう人もいるでしょう。

そんなあなたのために、Kyanbridge Englishでは、留学先での不安や悩みをリアルタイムで相談できる「留学メンタリングサービス」を提供しています。

このサービスは私が留学中に、「こんなサービスがあったらいいのにな」と思っていたもの。英語圏で生活する際に起こるトラブルや悩みを24時間アプリで相談できるサービスです。

私は留学中に何度も「もう無理かも・・・」と追い詰められたことがあります。そのたびに私を助けてくれたのは、同じ経験をした女性たちでした。

困ったときは、ぜひ私を頼ってください。

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この記事を書いた人

米国アイオワ大学で学士号と修士号を取得後、国連専門機関、大学、NPO、外資系企業など、英語が公用語の職場で20年以上の勤務経験あり。
英語コミュニケーションの楽しさを伝えたくて、イギリスのケンブリッジ大学英語検定機構認定のCELTA(英語教授法資格)を取得し、Kyanbridge Englishを設立。

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